研究課題
核酸代謝なかでもアデニンヌクレオチド代謝は、細胞のエネルギー源ATPの維持調節、DNAやRNA合成の調節、また、細胞内シグナル伝達に重要な役割を果たすcAMPや生理活性物質アデノシンの調節に関係し、生体で極めて重要な機能を担っている。また、AMPはAMP活性化キナーゼ(AMPK)を介して糖脂質代謝の制御の鍵を握っている。本研究では、ヌクレオチド代謝の中でプリンヌクレオチドサイクルを構成する主要代謝酵素AMPDにつき分子生物学的手法により機能解析を筋機能を中心に進め、独自に作製したAMPDをコードする3遺伝子それぞれのノックアウト動物を用いた遺伝子機能解析、複合遺伝子ノックアウト動物の解析を行った。こうした実験により、ヒトで存在の知られる筋AMPD欠損のマウスモデルが確立され、その機能解析が進捗したほか、ヒトで報告されているAMPD1遺伝子変異・多型と心機能・糖代謝との関係を明らかにする動物モデルが確立された。これまでの研究で、筋AMPD欠損あるいは赤血球AMPD欠損におけるヌクレオチド代謝の変化がモデル動物においても再現された。加えて、AMPD2遺伝子について、腎糸球体機能との関連、また、複数のAMPD遺伝子とAMPKとの密接な関係が明らかになり、とくに、AMPD2遺伝子が糖代謝に大きな影響を与えていることが明らかとなった。本研究により、ヒトにおけるAMPD遺伝子機能と疾患との関係について、代謝性ミオパシーとの関係のみならず、動物モデルを用いた遺伝子機能の解明により、アデニンヌクレオチドの大きな役割、すなわち、AMPKなどのシグナル伝達系を介した、心筋、骨格筋をはじめ全身の代謝状態の調節について新知見が得られ、将来の創薬ターゲットとしての有用性が明らかになった。
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