今年度は、プラズマ発生装置による癌細胞および初代培養細胞へのGreen Fluorescent Protein(GFP)遺伝子の導入効率および死細胞の割合を解析し、その指摘条件設定を行った。また、浮遊細胞でさらに遺伝子導入効率を上昇させる目的で、種々の条件設定を行った。前年度と同様、導入DNAはEnhanced Green Fluorescent Protein(EGFP)をコードするプラスミド(pEGFP-C1、Amersham Biosci。より提供)を使用した。細胞はHeLa、Ht-1080、MCF-7、HEK293、SH-SY5Yなどの接着細胞、およびJurkat細胞や、HL-60等の浮遊細胞を用いた。昨年度の研究結果から、細胞浮遊液としてはリン酸バッファーが導入効率が高いことが判明していたが、リン酸バッファーを用いると死細胞が多いことが問題であった。これを克服するために、リン酸バッファーに種々の濃度のFCSを加えたものを用いて検討したところ、プラズマ照射24時間後に死細胞の割合をPropiodium Iodide(PI)とAnnexin-Vで染色し、フローサイトメータで死細胞の割合を検討した結果、2%FCS添加リン酸バッファーは、細胞死を30%減少させることができた。しかし、遺伝子導入効率は若干減少することがわかった。浮遊細胞でも同様な検討をおこなったが、やはり浮遊細胞ではいずれの方法を用いても、HelaやHt-1080などの接着細胞よりも遺伝子導入効率が低い事が判明した。CD34陽性細胞に関しても遺伝子導入効率は他の浮遊細胞と同等であり、これに関しても、さらにいくつかの条件を設定し、解析が必要であると考えられ、また同時に導入効率を上げる何らかの新たな工夫をようするものと考えられた。無血清培地を用いると遺伝子導入効率が良く、死細胞の割合も低く、極めて有望であることがわかった。今後はこの無血清培地を用いて、種々の条件で遺伝子導入を行い、至適条件を設定する方針である。
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