研究課題
基盤研究(C)
現時点で癌幹細胞の継代大量培養が困難な為、まずEGFR陽性癌細胞に特異的に結合する標的化治療分子による抗腫瘍効果を検討した。1)抗体断片vs EGFリガンドの標的化分子としての有用性の比較抗体断片:EGFR-scFvまたはEGFとヘルペスウイルス(HSV)受容体ネクチンVドメインとの融合アダプター蛋白を作成し、HSVのEGFR発現細胞への感染効率を比較検討した。HSVの感染効率は有意にEGFR-scFvアダプターがEGFアダプターに比較して高かった。その要因として、EGFR-scFvアダプターはEGFアダプターに比較して、HSVgDへの結合親和性がより高く、EGFR活性を亢進させず、エンドゾームーライソゾーム経路破壊が短時間には認められず、HSVの膜融合による感染が生じる為と考えられた。標的化機能および癌のEGFR活性抑制という点で抗体断片による標的化分子が優ると考えられた。(現在論文投稿準備中)2)EGFRに対する標的化治療分子を発現する遺伝子治療の抗腫瘍効果の検討EGFR-scFvと融合させた自殺遺伝子EGFRscFv-E.coli PNPを発現するEGFR発現HCT116大腸がん細胞株を作成し、プロドラッグによる抗腫瘍効果を対照群CA19-9scFv-PNPやMock発現腫瘍と比較した。Mock群と比較して自殺遺伝子治療群では腫瘍の増大が抑制され、EGFRscFv-E.coli PNP群はCA19-9scFv-PNP群より更に有意に腫瘍退縮が認められた。腫瘍血管とPNP自殺遺伝子の免疫染色でEGFRscFv-PNP群は自殺遺伝子の腫瘍血管への結合が多く認められた。(Biotherapy 21;229-34,2007)今後、多剤耐性癌や癌幹細胞の形質であるトランスポーターABCG2を標的とする抗体・リガンドの探索を検討する。
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医事新報 4639
ページ: 65-68
Cancer Res 68
ページ: 1504-1512
Japan Medical Journal 4639
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ページ: 229-234
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