研究概要 |
選択的スプライスは遺伝子産物の多様化や調節に重要である。カセット型エクソンの使用・不使用に加え、近接する複数のスプライス供与・受容部位を互用する例が多数あることを我々は指摘した。微細選択的スプライスは主としてバイオインフォマティクス分野で事例の収集と選択を規定する配列要素の検索が進み、我々は使用比の実験結果を提供し、統合データベースの構築へと発展してきた。また、それぞれの対象遺伝子で生物学的現象との関連が指摘され(ABCR,ING4,NOXO1,RBM3など)、また、実験系での検証も開始された。 微細選択的スプライスは近接部位間のポテンシャルの競合の結果と我々は考えている。患者の疾患責任遺伝子で、点突然変異によってスプライスに異常を呈する例が多く見出されている。エクソン全体を使用しなくなる場合もあるが、近接部位を代わって使用する事もある。このような2次的スプライス部位に変異を実験的に導入すると、規定部位を再び使用する場合があることを見出した。点突然変異は規定部位のポテンシャルを低下させ、隣接する潜在部位のポテンシャルが勝った結果、その潜在部位が使用されたが、その潜在部位のポテンシャルをさらに低下させれば、規定部位は点突然変異を含んでいても使用できることになる。我々はRNA関連技術を用いて、異常スプライス部位を標的とすることによってスプライス異常を是正できることを実験的に示した。
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