研究課題
基盤研究(C)
難治癌といわれる肺腺癌を、上皮様増殖因子受容体(EGFR)を含めた様々な因子の発現を遺伝子プロファイルまたは免疫組織化学を用い比較検討することにより、クラスタリング解析し悪性度診断システムの構築や治療標的分子の同定を目的とし研究を進めている。1 肺腺癌でのEGFRの変異の探索:東京大学医学部附属病院で切除された肺腺癌の外科手術材料を用い、分子治療薬ゲフィチニブの標的であるEGFRの変異を調べた。現在42例であり、うち変異が検出出来たのは13例(31.0%)であった。肺癌に占める割合は既報に同等であり各症例の手術検体をもちい以下に挙る候補分子の免疫組織化学的検索を施行予定である。2:瘢痕部(浸潤先端部)に置ける分子標的:上皮内癌である細気管支肺胞上皮癌と、浸潤を示す繊維性瘢痕を有する腺癌を、外科材料においてマイクロダイセクション法を用い分離抽出し、浸潤部で更新している分子の抽出をDNAチップ法にて進めている。既知の分子で、浸潤や予後との相関が報告されている者を含め数十の候補分子を選び出している。浸潤や予後との相関が既報としてあるマトリックスメタロプロテアーゼファミリー(MMPs)等とともに、低酸素状態で誘導される分子、ケモカイン、や癌睾丸抗原候補分子などが有力候補として挙ってきている。これらの抗体を免疫組織化学的解析にてさらに解析する予定である。3:低酸素状態と状態と腫瘍細胞運動能:上記のDNAチップ法の結果も示すように浸潤部では低酸素状態と考えられる。肺癌細胞株A549を、低酸素状態にするとEGFRが誘導され、培養細胞の運動能をその活性化と連動し亢進されることを解明した。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件)
Cancer science 98
ページ: 506-511