研究概要 |
ヒトの種々の固形癌において癌遺伝子蛋白質(EGFR[Epidermal growth factor receptor],myc等)とそのシグナル伝達経路の異常,転移促進因子であるAMF(autocrine motility factor)の異常を解析した。 1.骨軟部腫瘍ではEGFRの過剰発現は肉腫にのみ認められその22.6%に、遺伝子増幅は12.9%に認めたが、low levelの変化も含めると遺伝子増加は39%に認めた。 2.EGFRの点突然変異は12.9%の症例で肺癌と異なった部位に認められたが、下流因子の活性化様式も肺癌とは異なっていた(Human Pathol.2007)。(1)(2)より骨軟部腫瘍もEGFR阻害剤の適応となる事を示した。 3.c-myc遺伝子は胃癌の16%で過剰発現し、3%で遺伝子増幅を認めた。またc-myc増幅例ではEGFR/c-myc、HER-2/c-mycの同時増幅が5%前後で見られ、c-mycの発癌における重要性と遺伝子同時増幅の特異性を示唆した(Mod.Pathol.2007)。 4.骨肉腫の検索で、術前化学療法後にAMF過剰発現を示した症例では術後に高率に転移を認め、またAMFの発現レベルがFDG-PETの集積度(SUV[standardized uptake value])と相関した。従ってAMF過剰発現群では、術後にAMFを介する経路で高率にリンパ節転移率をきたし、予後も不良であることを報告した。(Clin.Exp.Meta.2007)。
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