研究概要 |
外科的に切除されたホルモン依存性及び非依存性前立腺癌の未固定凍結材料を用い、Nikon社マイクロディセクションシステムEZCutを用いることで、前立腺癌の各腫瘍組織材料切片より正常部、前癌病変部、腫瘍部の目的細胞を採取、これらをDnase処理後RNAを抽出し、RNA増幅後、cDNAマイクロアレイ解析を行い、目的とする前立腺癌に特異的な新規癌関連遺伝子発現を検討した。cDNAマイクロアレイ解析に関しては、National center for Biotechnology InformationのUniGeneデータベースを基に選択された23,040種のcDNAを有するcDNAチップを使用し、Imaging Research社のArray Visionソフトウエアを用いて解析を行った。その結果、ホルモン依存性前立腺癌に比較した場合、非依存性前立腺癌に於いてはAR,ANLN,SNRPE遺伝子過剰発現とNR4A1,CYP27A1,HLA-A遺伝子発現低下を認めた(Cancer Res.2007,67,5117-25)。これら発現状を認めた遺伝子産物に関して、免疫組織学的に検討したところ、ホルモン依存性及び非依存性前立腺癌においてそれぞれの発現増加及び発現減少が認められた。今後はこれらの異常発現遺伝子産物におけるホルモン非依存状態での腫瘍動態への関与について解析を行う。加えてそれら遺伝子産物が、ホルモン非依存性旋律腺癌における分子標的治療の対象となりうるか否かの検討も行う。
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