研究概要 |
類上皮肉腫ににおけるケモカインレセプター発現と血管新生 類上皮肉腫はリンパ節および肺への遠隔転移を起こす頻度の高い予後不良な軟部悪性軟部腫瘍であり組織学的には遠位型と近位型に分けられ、臨床的に近位型は遠位型に比較して予後不良である。また組織学的に壊死を伴うことも多く何らかの低酸素状態が関与していることが推察される。類上皮肉腫におけるケモカインレセプター発現および血管新生と転移の関係を検討した。低酸素状態に関連するHIF1αとケモカインレセプターCXCR4の共発現が転移に関与しているという報告や、p53およびHIF1α共発現の腫瘍は予後不良であるという報告も最近の他の癌腫での報告がなされている。類上皮肉腫の近位型27例と遠位型28例の計55例に対してCXCR4,CCR7,VEGEMIB-1,CD31,HIF1α,p53の免疫染色とMVDの計測を行った。凍結標本が使用可能であった11例と4種類の類上皮肉腫由来培養細胞株に対してはCXCR4,CCR6,CCR7,VEGEHIF1αのmRNA発現量の測定を定量的 RT-PCR法で行い蛋白発現との相関を検討した。解析した症例での各種mRNA発現と免疫染色での発現結果との問で有意な相関関係を認めた。免疫染色においてHIF1α発現とCXCR4発現との間に相関関係を認め、さらにVEGF発現MVDとの問にも相関を認めた。CXCR4発現は近位型において有意に高頻度の発現をみとめさらに近位型のなかでもCXCR4発現例は有意に予後不良であった。p53発現は類上皮肉腫においてはその発現自体がまれであり、この腫瘍の進展発育への関与は低いと考えられさらにHIF1α発現との共発現と予後との相関も認められなかった
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