研究課題
基盤研究(C)
1)被爆者甲状腺乳頭癌組織の収集:長崎大学附属病院で1978年から1999年の間に切除された被爆者乳頭癌症例57例の保存パラフィンブロックを収集し、免疫組織化学、FISH、核酸抽出に供するための切片を作製した。57例の男女比は51:6、被爆時年齢は0-39才、平均15.4才、切除時年齢は49-78才、平均59.6才であった。2)RET/PTC1、PTC3遺伝子再構成のRT-PCR解析:パラフィン切片より全RNAを抽出した。57例中51例(89.5%)でRT-PCRによりTubulinの発現の増幅は可能であったが、RET/PTC1とPTC3はともに検出できなかった。乳頭癌におけるRET遺伝子再構成の頻度は報告により様々であるが、日本人では10%未満と特に低頻度である。被爆者乳頭癌でのRET/PTC1とPTC3の関与は低頻度と思われる。3)RET遺伝子再構成のFISH解析:1例にRET遺伝子異常を検出した。腫瘍細胞核内に2個のCEP10シグナルと数個のRET遺伝子シグナルが観察され遺伝子増幅と思われ、新規異常である。本症例は57才男性、被爆時6才の非直爆被爆者、44才に乳頭癌による甲状腺全摘術後の再発性腫瘍であった。1311による150mCiの内照射治療後で、組織型は未分化癌であった。放射線被曝との関連を評価する目的で、放射線関連乳頭癌3例と散発性乳頭癌12例、未分化癌6例のFISH解析を行った。その結果、RET増幅は放射線関連乳頭癌と未分化癌全例と散発性乳頭癌の1例に認めた。散発性乳頭癌の陽性例は低分化癌で、陰性例は全て高分化癌であった。甲状腺がんのRET遺伝子増幅は放射線関連と高悪性度群に限られ、発症機構にゲノム不安定性の関与が推察される。
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