研究分担者 |
中山 敏幸 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 講師 (30284673)
中島 正洋 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 講師 (50284683)
光武 範吏 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (50404215)
大津留 晶 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (00233198)
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研究概要 |
ABC (ATP-binding cassette) transporterの一つであるBCRP1 (breast cancer-resistant protein 1)は、種々の正常組織中の幹細胞で発現している事が報告されているが、このBCRP1は抗癌剤のほかHoechst 33342色素を排出する作用がある。これを利用し、フローサイトメトリーを用いて染色度の低いSP細胞を同定、分離することが可能である。この方法を用いて、いくつかの癌細胞株を調べた所、ARO細胞では0.25%,FRO細胞で0.1%,NPA細胞で0.06%,WRO細胞で0.02%のSP細胞を同定したが、TPC1細胞ではSP細胞は見られなかった。ARO細胞はヌードマウスに容易に腫瘍を形成出来るが、TPC1細胞ではほとんど腫瘍を形成しない。さらにSP細胞はコロニー形成能が極めて高く、ヌードマウスにも移植されやすいが、必ずしもnon-SP細胞がヌードマウスに移植できないわけでなく、non-SP分画よりSP分画が、SP分画よりnon-SP分画の細胞が生じるという可塑性があることが分かった(Mitsutake, N. et al. Endocrinol, in press,2007)。現在マイクロアレイなどを用いた解析を進め、SPよりもよりがん幹細胞の特徴に直接関与する遺伝子を見つけているところである。また放射線感受性に関しての候補遺伝子を絞り込む目的で、放射線抵抗性シグナルを検討したところc-Ab1のリン酸化が重要な役割をしており、c-Ab1のリン酸化を阻害する薬剤で処理すると、がん幹細胞のセネッセンスが観察された(Podtcheko, A. et al. Radiation Res 165:35-42,2006)。さらにNF-kBの経路の関与も考えられ、研究を進めている(Palona, I. et al. Endocrinol 147:5699-5707,2006)。
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