研究概要 |
1.肝エックスレセプター(LXR)α発現の検討 LXRαmRNAに特異的なプライマー(112LXRα)を設定し、PCR法で検討した結果、ヒト癌細胞株MCF-7(乳癌)およびASH3(甲状腺未分化癌)に明瞭なシグナルが得られた。両細胞株とも脂肪酸合成酵素(FAS)とグルコーストランスポーター(Glut)-1を高発現している。したがって、今後、LXRαの発言をsiRNAによって阻害した場合にFASおよびGlut-1の発現がどう変化するか、それに伴って、細胞の増殖および生存がどう変貌するかを明確にできる手がかりが得られた。さらに、MCF-7はエストロゲン/プロゲステロンレセプターを保持しているので、これらの性ホルモンによるLXRα発現の影響を検討することも可能である。 ASH3株は、また、アシルCoA合成酵素(ACS)L6を高発現し、脂肪酸の活性化機能が亢進している。LXRがACSL6の発現に関わるか否かも今後明確にしたい。 2.ヒト骨髄腫株OdaはFASとGlut-1、Glut-5を発現している。この株から、105クローンをとり、そのうちGlut-5の高発現株(21クローン)と低発現株(47クローン)を選別した。その中の高発現株H66は、LXRαを産生していることが判明した。この株の増殖能は、しかし、親株Odaよりも低い、この両株を用い、LXRα、RXR, SREBP-1,PPAR-γについて対比的に調べていきたい。 3.ただ、RXR、SREBP-1,PPAR-γについては目下プローブを検討している段階にあり、早急に研究を遂行する予定である。 4.数種の市販のLXRαの抗体について、パラフィン切片へ応用できるか否かを検討したが、いずれも良好な結果は得られなかった。が、培養細胞に応用可能な抗体があるので、今後は主に細胞株についてLXRα蛋白の発現について調べていくことにしたい。
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