研究概要 |
平成19年度の研究においては、以下の2点について検討を行った。(1)胃癌周囲非腫瘍性粘膜におけるstem cellの数・分布を検討した。Stem cellのマーカーとされるCD133,CD49f,nucleostemin,Lgr5などの発現を免疫染色やISHにより検討したところ、stem cellの数が増加し、腺管表層まで広い分布を示す腺管が小範囲に集簇して認められた。このようなstem cell hyperplasiaを示す領域の組織型は腸上皮化生を伴う萎縮性胃炎を示すものもあったが、軽度異型を伴う非腸上皮化生粘膜を示すものも見られ、いずれにおいてもテロメアはリンパ球の60%以下に低下していた。(2)以前に研究分担者が報告した遺伝子欠損について(1)の領域について検討したところ、同様の遺伝子欠損が認められた。以上の結果から、short telomere lesionにおいては、テロメア短縮とともにstemcell hyperplasiaまたはstem cell deregulationが認められ、特異的な遺伝子異常を伴っている可能性が示唆された。
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