研究概要 |
形態学的および免疫表現型的に濾胞性リンパ腫との確定診断が下された症例のうち,bcl-2遺伝子再構成が染色体分析にてt(14;18)として確認された症例をリンパ腫ファイルから抽出,匿名化後それらのパラフィン切片から抽出したDNAを用い,loop-mediated isothermal amplification(LAMP)法のためのプライマー設定を試みた.標的遺伝子接合部の上流領域(bcl-2 Exon III,5'側)および下流領域(免疫グロブリンH鎖遺伝子,J領域側)でそれぞれ3領域をマニュアルで規定し,それに基づいてプライマーセットを設定のうえ,液相LAMPにて増幅の有無および効率を検討した.しかし,試行を重ねても現時点では満足できる増幅は得られていない.プライマーセットのうち微弱な反応をもたらしたものを用いてin situ LAMPを試みたが,反応条件を種々検討しても,組織切片上での増幅は得られず.そこでやむなく方針を変更し,再構成bcl-2遺伝子をまず通常のPCR法で増幅,その塩基配列をもとにLAMP法のためのプライマーセットを設定することを検討している.この方法では,対象とするリンパ腫材料ごとに通常のPCRに基づく塩基配列決定が必要となる可能性があるが,プライマーセット設定の試みは増幅された一本の塩基配列を対象とするため,「LAMP法プライマー設計支援ソフト」を使用できるという利点がある.これにより一定数症例について決定されたプライマーセットを比較することで,再構成bcl-2を標的としたコンセンサスなプライマー配列が得られることを期待したい.一方,特異性および感受性比較のためのFISHによるt(14;18)同定に関しては,良好な結果が得られている.
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