研究課題/領域番号 |
18590344
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
廣瀬 隆則 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00181206)
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研究分担者 |
原田 博史 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70241180)
石澤 圭介 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (10327025)
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キーワード | 脂肪肉腫 / CDK4 / MDM2 / real time PCR / FISH |
研究概要 |
異型脂肪腫様腫瘍・高分化脂肪肉腫ALT/WDL、脱分化型脂肪肉腫DDLには、cdk4、mdm2遺伝子の増幅がみられることが特徴とされている。脂肪性腫瘍の診断における遺伝子増幅の意義を明らかにする目的で、real-time PCRとFISH法を用いて、ALT/WDL/DDLおよび鑑別が問題となる種々の軟部腫瘍において、この遺伝子増幅の有無を検討した。 パラフィン切片からDNAを抽出し、real-time PCRによりcdk4およびmdm2の遺伝子量を半定量的に計測し、対照遺伝子beta-globinのそれとの相対比で増幅率とした。FISH法もパラフィン切片上で実施し、cdk4およびmdm2特異的シグナルの集積を認めるものを過剰増幅と判断した。 その結果、ALT/WDL/DDLはcdk4が平均35.3、mdm2が平均38.9と著しい増幅を示していることが明らかとなった。この増幅はFISHでもシグナルの著しい集積像として確認された。一方、鑑別診断として問題となる以下の腫瘍のcdk4およびmdm2増幅率は、粘液型脂肪肉腫(2.3;2.5)、多形型脂肪肉腫(2.1;2.7)、脂肪腫(0.6;1.2)、悪性線維性組織球腫(1.5;1.5)、平滑筋肉腫(0.7;0.4)、悪性末梢神経鞘腫瘍(0.7;0.3)であり、遺伝子の著明な増幅は認められなかった。FISH法でもほぼ同様の結果が得られた。 以上、パラフィン包埋材料を用いたreal-time PCRおよびFISH法により、ALT/WDL/DDLでcdk4、mdm2の著しい増幅を証明することができた。一方、これらと鑑別が問題となる各種の軟部腫瘍では、増幅はあっても軽微であり、高度の増幅は確認できなかった。すなわちこれらの遺伝子増幅の解析は、脂肪性腫瘍の診断に極めて有用であることが示された。
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