研究概要 |
【背景と目的】乳癌治療において、ホルモン受容体とくにestrpgen receptorα(ERα)とhuman epidermal growth factor receptor-2(HER2)は、代表的な細胞の分化増殖調節因子であり、また治療薬開発の標的分子である。一方、ERα、HER2いずれも陰性の乳癌に関しては、新たな治療戦略が模索されている。われわれは、現在までにERα陰性・HER2陰性乳癌においては細胞周期関連転写因子E2Fの高発現が認められることを明らかにしてきている。 【研究成果】本研究助成金による検討により、2007年度にE2F-5遺伝子異常(E2F-5遺伝子点突然変異解析、E2F-5遺伝子増幅)の有無について報告した。その後、E2F-5遺伝子産物(蛋白)発現について、臨床病理学的検討を行い、以下のE2F-5陽性乳癌の特徴を明らかにした。 1)E2F-5陽性乳癌は、TNBC (ER/PgR/HER2陰性乳癌), BLBC (basal-like breast cancer)に高頻度に見られること。 2)E2F-5陽性乳癌は、Ki-67 labeling indexが高いこと。 3)E2F-5陽性乳癌は、リンパ節陰性群について再発症例が多いこと。 これらの内容起ついて論文投稿し掲載された(Br. J. Cancer 100;764-771,2009)。
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