本年度は2年計画の第1年目のため、まだ、有用な結果を出すにはいたっていない。 平成18年5月にC57BL/6雌性マウス、BDF1雌性マウスに放射線照射後、ROSA26雄性マウス、GFP雄性マウスの骨髄より採取した細胞を移植した。2週間の回復期間の後、胃の発癌剤であるMNUの投与を開始。9週間、隔週に投与した。その後は通常の水の投与にて経過観察。 11ヶ月後現在、BDF1マウスは見かけ上は健在であるが、C57BL/6マウスは約半数が死亡したため、MNU投与後1年を待たずに現在、屠殺中である。まだ、一部を屠殺したところであるが、胃壁の硬化、脾臓転移は認められる個体もある。組織学的観察には至っていない。 ヘリコバクターフェリス感染マウスへの骨髄移植であるが、以前、我々は、骨髄移植後、感染させ、さらに10ヶ月後の胃で骨髄細胞が化生胃粘膜に大量にとりこまれているのを報告した。今回、科研費交付以前より骨髄移植を施行している個体にて、ヘリコバクターの感染がなくても、骨髄移植後10ヶ月たつと、正常胃粘膜にもかなり骨髄細胞が取り込まれていることがわかった。そこで、骨髄移植先行ではなく、ヘリコバクター感染先行にて骨髄移植を試みる計画とした。以前、行ったパイロットスタデイでは、ヘリコバクターフェリス感染10ヶ月後のC57BL/6マウスに骨髄を移植したところ、1ヶ月で、化生胃粘膜大量の骨髄細胞がとりこまれていたので、これを追試する予定である。に現在、ヘリコバクターの培養を試行中である。ヘリコバクター感染動物飼育の場の確保に難渋し、現在の進行状況は以上である。
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