研究課題/領域番号 |
18590364
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
浜野 有記 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (90396680)
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研究分担者 |
三木 義男 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (10281594)
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キーワード | Endostatin / 低用量化学療法 / HIF-1α / Paclitaxel / 転移性がん / 内因性血管新生抑制分子 / 血管新生 |
研究概要 |
がん血管新生は、天秤に例えられる血管新生促進因子・抑制分子のバランスにより規定されるため、いかにそのバランスを抑制側に傾けられるかを検討することが重要である。これまで明らかとなっていない内因性血管新生抑制分子の発現制御機構解明のため、下記の研究を行なった。 1、低用量化学療法と血管新生抑制分子との関連性 低用量Paclitaxelを長時間がん細胞に暴露させた結果、血管新生抑制分子Endostatinが産生された。この培養上清と血管内皮細胞を培養することにより血管内皮細胞の増殖が抑制された。さらに、肺がん細胞を皮膚移植したマウスにPaclitaxelを投与したところ、がん組織・末梢血にEndostatinが産生されるとともに、増殖・血管新生が抑制された。これらの効果はEndostatin非産生皮膚がん細胞を移植した際には認められなかった。 2、Endostatin産生におけるHIF-1αの役割 がん細胞におけるEndostatinの発現機構を明らかにするために、Paclitaxelと低酸素感受性転写因子HIF-1αの関与を検討した。PaclitaxelによるHIF-1αの発現抑制やRNA干渉を用いたHIF-1αの発現低下によってEndostatinの発現が増加したことから、HIF-1αとEndostatinの関連性が示唆された。 3、転移性がんにおける血管新生抑制分子の役割 肺がん細胞を皮膚移植したマウスにおいて多数の肺転移巣が確認され、転移部位に内因性血管抑制分子Endostatin・Tumstatin・Thrombospondin-1の発現を認めた。今後、低用量PaclitaxelによるEndostatinを含めた血管抑制分子の転移巣内発現変化・転移性がんに対する治療効果を検討する。 以上の結果より、低用量Paclitaxelによる血管新生抑制作用は、Endostatinが中心的な役割を担っていることが明らかとなった。
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