研究課題/領域番号 |
18590366
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
桜井 敬之 信州大学, 大学院医学系研究科, 講師 (80317825)
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研究分担者 |
新藤 隆行 信州大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90345215)
佐藤 正宏 鹿児島大学, 研究推進センター, 教授 (30287099)
下澤 達雄 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90231365)
永谷 憲歳 国立循環器病センター研究所, 先進医学工学センター, 部長 (60372116)
寒川 賢治 国立循環器病センター研究所, 所長 (00112417)
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キーワード | アドレノメデュリン / 受容体修飾因子 / 血管作動性ペプチド / キメラマウス / 疾患モデル動物 |
研究概要 |
アドレノメデュリン(AM)遺伝子は強力な血管拡張降圧作用を持つ血管作動ペプチドであり、かつ抗酸化作用、抗炎症作用、抗動脈硬化作用など多彩な生理活性を持ち、その臨床応用が期待されている。AM研究はこれまで主として心血管系の作用に注目した検討が行われてきた。一方で、AM遺伝子発現は心血管系にとどまらず、神経系、泌尿生殖系、消化器系、呼吸器系など全身に認められているが、そこでのAMの機能は殆ど不明である。AMの機能の包括的な理解は、AMのより安全な臨床的利用や新たな臨床手段を生む基盤に必須と言える。本研究では、キメラマウス法を駆使することで、従来、マウスAMヌル胚が胎生致死となるため不可能であった個体レベル、各臓器レベルにおけるAMの機能(リガンドであるAMとその受容体修飾因子であるRAMP2の両面)を病理学的に解析することを目的としている。 本年度、AM遺伝子改変系統とROSA26(LacZ発現)系統マウス間で集合胚キメラを作成し、AMヌル細胞を持つキメラ胚を得ることが出来た(なおキメラマウス遺伝子型判定法は当初計画したFCMから変更し、新たに条件を検討、開発したRealTimePCR-Genotyping法を導入)。同キメラ胚は、少なくとも16.0日胚まで生存しており、AMヌル胚で完全に致死にいたる13.5-14.5日胚を越え生存できることが明らかとなった。生存がなぜ延びたかは興味ある点であり要因を探っている。しかしながら成体キメラを得ることは出来なかった。おそらくAMヌル細胞の寄与率が高かったためと思われ、キメラマウス作成手法を改良して引き続き出産仔を得ることを試みている。得られたキメラ胚はlacZ染色および各種の特異的抗体を用いた蛍光免疫染色で解析を実施した。その結果、致死の時期が延び、胚発生が進んだことから幾つかの臓器に予想以上に重篤な形態的異常が確認された。現在、得られた知見を発表すべく、AMヌル細胞キメラ率と形態的異常の関係様式、形態異常のキメラ臓器から考えられるAMの機能をまとめている。
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