研究課題/領域番号 |
18590367
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
市原 正智 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (00314013)
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研究分担者 |
村雲 芳樹 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40324438)
時々輪 真由美 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50378006)
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キーワード | RET / GDNF / SPROUTY / neurite outgrowth / ERK |
研究概要 |
本研究はRETチロシンキナーゼ下流におけるSproutyファミリータンパク質の役割を解明し器官発生、発癌過程の新たな知見を得ることにある。昨年度は細胞株レベルでSprouty2がRETチロシンキナーゼの下流で神経の増殖、分化を制御していることを明らかにした。今年度はSprouty2欠損およびRET遺伝子改変(Y1062F)間のダブルノックアウト・ノックインマウスを作成し器官形成における両者の役割を検討した。RET遺伝子改変(Y1062F)ノックインマウスでは胃から遠位結腸における神経細胞数が激減し巨大結腸症が観察される。一方Sprouty2欠損マウスでは、吉村らの報告のように胃から結腸近位部に至る神経細胞の数の増加が観察された。両者のダブルノックアウト・ノックインマウスでは、RET遺伝子改変(Y1062F)ノックインマウスに比して、胃までの神経細胞の減少に改善が見られた。この結果により個体内でSprouty2がRETチロシンキナーゼのシグナルを実際に制御してくること再確認できた。次にRET遺伝子改変(Y1062F)ノックインマウスでは野生型に比して腎臓の低形成所見が観察されるが、この表現形がSprouty2欠損を加えたダブルノックアウト・ノックインマウスとした場合には、腸管神経と同様に低形成が改善された。興味深いことに単独のSprouty2欠損のみでは腎臓に変化は観察されない。この事実は生理的環境ではSprouty2は腎臓の形成にも重要な役割をしていることを示唆している。現在後根神経節細胞の神経培養により、下流シグナルの変化に検証を加えている。なお当初の実験計画ではMEN2A型変異RETタンパクを発現したトランスジェニックマウスとSprouty2欠損マウスとの交配による発癌に対する影響の観察も同時に行う予定であったが、MEN2A型変異RETタンパクを発現したトランスジェニックマウスの理研BRCよりの本学への分与に時間を要し、本研究終了時までに結論を得ることは困難となった。本研究終了後もさらに1年以上の観察を続け、検討を加えることを予定している。
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