研究課題
基盤研究(C)
Chinese hamster ovary(CHO)cellにARPPを遺伝子導入して過剰発現細胞株を作製して、脂肪酸(^<14>C-パルミチン酸)の取り込みを検討したところ、ARPP発現細胞において有意に脂肪酸の取り込み能が低下することを見出した。しかも、ARPP発現レベルの高い細胞ほど強く取り込み能が低下する傾向を示した。この実験結果はARPPが脂肪酸の細胞内取り込みにおいて機能することを示唆している。細胞内への脂肪酸の取り込み機構はいまだ明らかではないが、最近、脂肪酸取り込みに重要な働きをする蛋白質として、膜蛋白質fatty acid translocase(FAT/CD36)ならびに細胞質に存在して脂肪酸輸送に関わると考えられているheart fatty acid binding protein(H-FABP)が重要であることが明らかにされている[The FASEB J(Bone et al., 18, 1144-6, 2004)]。したがって、ARPPがこれらの蛋白質と関連するか否かに興味がもたれる。ARPPを過剰発現するとパルミチン酸の細胞内取り込み能が低下すること、さらにARPPをcyan fluorescent protein(CFP)との融合蛋白質(CFP-ARPP)として、またH-FABPをyellow fluorescent protein(YFP)との融合蛋白質(YFP-FABP)としてCHO細胞にco-transfectionにより共発現させレーザー共焦点顕微鏡で観察したところ、fluorescence resonance energy transfer(FRET)が確認された。一方、CFPとYFPのみを共発現させただけではFRETは確認されなかった。このことから、ARPPとH-FABPは物理的に直接結合していることが示唆された。さらにARPPとFABPの骨格筋における発現様式をそれぞれを特異的に認識する抗体を用いた免疫組織化学により解析したところ、ARPP陽性筋線維とFABP筋線維はよく一致した。さらに筋線維内における局在(サルコメア内における局在)もよく一致していた。以上のことから、ARPP蛋白質がFABPとの相互作用を介して細胞内への脂肪酸取り込みに関わることが示唆された。
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