胞巣型横紋筋肉腫における特異的転座t(2;13) (q35;q14)によって形成されるPAX3-FKHR融合遺伝子においては、PAX3の転座切断点はintron7の領域に高頻度に認められる。そこで、この領域に複数のprimerを設定し、PCRによる増幅とDigoxigenin標識を同時に行いプローブとした。FISH解析でPAX3-TIF2融合を検出した胎児型横紋筋肉腫症例を対象にして、上記のプローブを用いて、non-RI southern blot解析を行っているが、未だ再構成バンドは検出されていない。今後、さらに領域を広げてプローブを設定し、転座切断点を同定していく予定である。 胎児型横紋筋肉腫細胞株RMS-YMはGバンド解析では複雑な染色体異常を呈している。PAX3転座の有無を調べるためにFISH解析を行ったが、同転座は認められなかった。また、この細胞株は癌遺伝子の高度増幅を示唆する染色体異常所見であるhomogeneously staining region (HSR)が認められていた。このHSRの由来を明らかにするため、spectral karyotyping (SKY)法で解析したところ、12番染色体由来であることが明らかになった。そこで、同染色体(12q15)上に局在する癌遺伝子MDM2の増幅を予想し、この遺伝子を含むBACクローン(RP11-1137N1)をプローブとしてFISH解析を行った。その結果、HSR上で確かにシグナルの集簇を認め、MDM2増幅が確認された。
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