ピロリ菌(HP、J99株)と正常成人ヒト皮膚繊維芽細胞(NHDF、フラスコ培養)の2代継代までの混合培養(細胞数30:1と100:1、72時間まで)から抽出したDNAについてメチル感受性制限酵素Not Iと非感受性制限酵素Mse Iで消化、両消化末端特有のアダプターをライゲート後、アダプタープライマーでPCR増幅した。NHDF単独培養からの抽出DNA由来の同様PCR産物にCy3、混合培養からの抽出DNA由来PCR産物にCy5でそれぞれ標識したdCTPを反応させて蛍光標識した。両標識PCR産物を、あらかじめヒトゲノム全体のNot Iサイト9654箇所と近傍のMse Iサイト間の配列を固定化したマイクロアレイに共ハイブリダイズしてCy3、Cy5、のどちらの蛍光が強いかでHPとの混合培養による各遺伝子のメチル化あるいは脱メチル化を検出した。その結果、HPの細胞数30倍、100倍で72時間混合培養したヒトDNAでは、2分の1以下への信号強度変化を起こしたすなわちメチル化したCpGサイト比率が4〜6%、2倍以上への変化を起こしたすなわち脱メチル化したCpGサイト比率が6〜8%となった。2分の1以下へのメチル化変化を起こした遺伝子の中にはMBD1、MBD3、HDAC4、DNMT3A、DNMT3B、RUNX3など重要な遺伝子も含まれており現在引き続きさらに解析中である。
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