研究概要 |
レシピエントとしては、NK細胞を減少させ、NK活性を減弱化させるため、抗アシアロGM1抗体で処理したsevere combined immunodeficiencyマウス(SCID マウス)を用いた。まず、ヒト臍帯血を母の承諾を得た上で入手し、リンホプレップを用いて低比重分画を得た。これを、抗CD3,抗CD19,抗CD14,抗CD15,抗CD16,抗CD56,抗CD11c抗体とマグネットビーズを用いて、分化マーカーを発現している細胞を除去し、さらにPKH26を用いて赤色蛍光を発するようにラベルし、これを前述のSCIDマウスの網膜下に注射した。2週間後にマウスを屠殺し、これらの目を0.T.C.コンパウンドを用いて凍結し保存した。10μmの厚さで標本を作製し、様々な神経および網膜神経細胞の分化マーカーに関して検討を加えた。すなわち、凍結切片を、抗ヒトnestin,抗ヒトMAP2,抗ヒトneuron specific enolase(NSE),anti-β-lll tubulin抗体や2種類の抗rhodopsin抗体を用いて染色し、これらの神経マーカーは緑色の蛍光を発するように2次抗体を用いた。 以上の用にして作成した標本を共焦点顕微鏡を用いて観察した。結果としては、注入した赤色蛍光を発するヒト臍帯血細胞中に様々な神経マーカーのみならず、網膜神経細胞に特徴的なロドプシンの発現も認められた。また、この現象を確認するためリアルタイムRT-PCRを用いて、ヒトG3PDH,ヒトロドプシンのmRNAの検討を行ったところ、ヒト臍帯血を注入したマウスの目には、ヒトの細胞が存在し、少なくともその一部はヒトロドプシンを発現していることが証明できた。
|