研究課題
加齢性神経変性では概して大脳辺縁系選択的にニューロン変性が進行することから、本年度は、辺縁系特異的に発現が変動するタンパク質を同定するために、加齢性神経変性モデルSAMP10を用いたプロテオーム解析を行った。加齢性神経変性モデルとしてSAMP10マウス(3,8,14カ月齢)、正常対照としてSAMR1マウス(3,8,14,21カ月齢)を用いた。脳を大脳辺縁系およびその関連領域と変縁系非関連領域などに分割し、それぞれからタンパク質を抽出した後、蛍光標識2次元ディファレンスゲル電気泳動(2D-DIGE)法にてタンパク発現を解析し、質量分析にて同定した。免疫組織染色を行い、タンパク質の分布を検討した。その結果、SAMP10の大脳辺縁系・関連領域において、3カ月齢と14カ月齢で有意な発現差を示すタンパク質は91個認められた。その中からSAMP10で加齢にともなって顕著に変化し、かつSAMR1との差が際立っていたスポット10個を選び、タンパク質の同定を行った。質量分析の結果、リン酸化α-internexinがSAMP10の大脳辺縁系・関連領域においてSAMR1よりも早期から増加していることが明らかになった。リン酸化タンパク質を特異的に染色するProQ Diamond染色およびα-internexin抗体を用いたウェスタンブロットによって、α-internexinの総発現量は一定で、そのリン酸化の割合が増加することが明らかになった。免疫組織染色の結果、α-internexinは主に軸索に分布していた。軸索に分布する中間径フィラメントであるα-internexinはリン酸によって重合が阻害される事が知られている。従って、α-internexinがSAMP10で早期にリン酸化されることが軸索の変性に関与することが示唆された。
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