1)前年度の解析で、マクロファージが認識し、IRF-4KOマクロファージにおいて、IL-12産生が低下しTNF-α産生が亢進するリーシュマニア粗抗原の物理化学的性状を明らかにした。すなわち、蛋白であろうという予想と異なり、不溶性分画に含まれ、proteinase K抵抗性であることが判明した。そこで、当初予定していた液体クロマトグラフィーやマススペクトロメーターを用いた解析が困難となり、実験計画の変更を余儀なくされた。 2)まず、分子量の違いから粗抗原の分画を進めるべく、ゲル濾過法を試みた。分子量が現段階では不明なため幅広い分子量をカバーすることを目的に、Sephadex G-100を用いて分離を開始した。 3)野生型、IRF-4KO由来腹腔マクロファージにIL-12、TNF-αのレポータープラスミドを導入し、2)で分取した粗抗原の存在下で目的にかなう分画をスクリーニングずるべく、プライマリー細胞へのプラスミド導入のシステム構築を行った。様々な遺伝子導入法を試みるも遺伝子導入は困難であったが、プラスミドの精製方法、遺伝子導入方法を確立した。現在、プロモーター活性の測定を開始したところである。 4)リーシュマニアの新たな抗原認識におけるMyD88/TRIFの関与の解析:MyD88、TRIFはTLR直下のアダプター分子である。従って、IRF-4(+)MyD88/TRIF DKO、IRF-4(-)MyD88/TRIF DKO由来マクロファージを用いて、リーシュマニア粗抗原に反応し、IRF-4(-)MyD88/TRIF DKOでIL-12産生が低下しTNF-α産生が亢進すれば、TLRの抗原認識における関与は否定できる。そこで、既に入手済みであったMyD88/TRIF DKOとIRF-4KOを掛け合わせ、IRF-4(-)MyD88/TRIF DKOの作成を開始した。
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