研究課題
基盤研究(C)
当該研究では平成18年度に以下の実験をすすめた。1)ニホンザルによる脳MRI撮像条件の検討:本研究ではカニクイザルを用いた脳MRIの撮像条件をもとに、ニホンザルにおけるT1強調像、T2強調像、FLAIR像、拡散強調像、Gd造影像の撮像条件の検討をおこなった。その結果、ニホンザルでは頭部の大きさや位置がカニクイザルと若干異なるため、本研究におけるMRI撮像はカニクイザルの撮像条件を微調整した条件に設定することとした。2)P2実験用密封型コンテナを用いたサル・脳MRI撮像条件の検討:本実験ではマラリア感染個体の移動やMRI撮像作業の際にも、BSL2条件を維持しなければならないことから、P2実験用密封型コンテナを開発した。コンテナは当初の試作モデルから改修を重ね、最終的に外部から吸入麻酔および呼吸の維持管理、心電図のモニター、および造影剤の注入が適切に遂行できるようになった。さらにこの密封コンテナ内にニホンザルを固定した状態で、コンテナごと脳MRI撮像を実施するシステムを確立した。3)サルマラリア感染個体による脳MRI解析:サルマラリア原虫(Plasmodium coatneyi)の凍結保存血液をニホンザル1頭に静脈内接種し、感染経過にともなう脳MRI解析を行なった。その結果、T1強調像、T2強調像、FLAIR像および拡散強調像において感染後の異常所見は認められなかった。しかし感染12日後(寄生率4%)のGd造影像から算出した脳血液量は減少傾向がみられ、一方血流量は増加する傾向にあった。感染12日後のMRI撮像終了後に剖検を行なったところ、大脳および小脳におけるsequestration(血管内塞栓)の形成は低頻度であったのに対し、肺、心臓、小腸、大腸および骨格筋では高〜中頻度に認められた。
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Parasitol. Res. 100・5
ページ: 1119-11124