研究課題/領域番号 |
18590408
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
高桑 雄一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40113740)
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研究分担者 |
萬野 純恵 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10101205)
布村 渉 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70256478)
越野 一朗 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80328377)
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キーワード | マラリア / 赤血球 / 膜脂質 / ラフト / 非対称分布 / 膜機能 / 感染 |
研究概要 |
本年度は水平方向のダイナミズム(脂質ラフト)について、昨年度のリドカイン処理(可逆的脂質ラフトの消失)に加えてスフィンゴミエリナーゼおよびMBCD処理(不可逆的脂質ラフトの消失)によるマラリア原虫の赤血球への侵入の効果について検討した。 「結果」(1)まず、始めにスフィンゴミエリナーゼ処理条件を検討し、赤血球膜外表面のスフィンゴミエリンを最大限処理できる条件を見出した。その条件で赤血球膜をスフィンゴミエリナーゼ処理すると、スフィンゴミエリンが減少し、ラフト画分は消失した。また、MBCD処理は常法に従い処理し、コレステロールの減少に従いラフト画分は消失した。これらの結果は脂質ラフトの維持にはスフィンゴミエリンとコレステロールが必要であることを示している。(2)これらの処理の有無によりラフト画分の存在をコントロール(Gsαのラフト画分への集積で確認)した赤血球を調製し、アデノシン刺激による情報伝達系の活性化を1)細胞内cAMP量の増加、2)PKA活性化による基質蛋白質(膜骨格のひとつであるアドシン)のリン酸化で確認した。スフィンゴミエリナーゼまたはMBCD処理(すなわちラフト画分の消失)により情報伝達は遮断された。(3)上記(2)と同様に処理した赤血球へのマラリア感染率は著明に減少した。「考察」赤血球膜脂質ラフトの消失により、Gsαを介する情報伝達とマラリア原虫の侵入が抑制された。このことはマラリア原虫からの何らかの刺激がGsαを介して膜骨格蛋白質をリン酸化し、水平方向の脂質ダイナミズムを利用して膜の内方陥没(原虫の侵入)を容易にすることを示唆している。
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