研究課題/領域番号 |
18590409
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
木村 英作 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70153187)
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研究分担者 |
伊藤 誠 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (90137117)
角坂 輝貴 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90109760)
近藤 繁生 愛知医科大学, 医学部, 講師 (20097786)
高木 秀和 愛知医科大学, 医学部, 助手 (90288522)
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キーワード | ネズミ糞線虫 / 自食作用 / 排虫 / 活性酸素 / SOD |
研究概要 |
ネズミ糞線虫(Strongyloides ratti)はラット小腸に寄生するが、2週間程度で排虫される。しかし、一部の成虫は排虫されずに大腸に留まり、「新たな」寄生を開始する。我々は、この大腸寄生がS.rattiの生存戦略として重要な役割を持つことを示すとともに、大腸寄生のメカニズムを追求している。 (1)抗酸化剤BHAをS.ratti感染ラットに投与すると、大腸寄生が消失する。あたかも「酸化作用」が大腸寄生を造り出したかのようである。同時にS.rattiのsuperoxide dismutase(SOD)を調べると、小腸から大腸に移行する課程でSODの電気泳動パターンが大きく変化することが明らかとなった。また、感染後7日目で小腸上部に寄生している成虫を、既に感作されているラットの大腸に移植すると比較的すみやかに排虫されるが、感染後19日目で小腸下部に寄生している成虫を同様に移植すると排虫が遅延することが示された。S.rattiは、小腸寄生の間に宿主の免疫作用などを受けつつ、大腸寄生が可能になるような形質を獲得していくように思われる。 (2)以上の観察を基に、5.rattiのsuperoxide dismuase-1,-2,-3遺伝子、thioredoxin peroxjdase-2,-3遺伝子、glutathione peroxidase遺伝子を得た。 (3)一方、大腸は、糞線虫の体長短縮に示されるようにS.rattiにとって「快適」な環境ではなく、少なくともある時期において飢餓状態に陥るようである。電子顕微鏡でS.rattiの形態観察を行ったところ、小腸寄生S.rattiの腸管は「食物」で満たされているのに反して、大腸寄生S.rattiの腸管は空で腸管腔がつぶれていた。 (4)飢餓状態にもかかわらず、小腸と大腸に寄生するS.ratti成虫の子宮内虫卵数を比較すると、小腸下部寄生で一時減少するが、、大腸寄生では明確に増加している。このプロセスに自食作用(autophagy)が関与する可能性を考慮し、それに関与する遣伝子lgg-1を得た。
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