研究概要 |
1. 寄生部位と遺伝子の発現に関する実験 感染幼虫、小腸上部寄生成虫(感染7日目)、小腸下部寄生成虫(感染19日目)、大腸寄生成虫(感染25日目)よりRNAを抽出し、RT-PCRを行った。抗酸化遺伝子、sod(super-oxide dismutase)-1,sod-2,sod-3,gpx(glutathione peroxidase),prdx(thioredoxin peroxidase)-2,prdx-3は寄生部位にかかわらず同様に発現していた。しかし、感染幼虫ではsod-1,prdx-3の発現が見られなかった。 自食作用関連遺伝子、lgg-1,atg1,fhtf1a,fhtf1bは感染幼虫を含む全てのステージで同様な発現が見られた。 2. 自食作用関連蛋白LC3の関連蛋白(S. ratti lgg-1)とその抗体の作製 S. ratti lgg-1を大腸菌発現ベクターに組み込み、組み換え抗原を作製し、それに対する特異抗体を作った。この抗体を用い、自食作用の検出を試みているが現在のところ明確な結果は得られていない。 3. 電子顕微鏡による観察 透過型、走査型電顕により、各発育ステージにおける形態学的観察を行っている。大きな変化は糞線虫の消化管に見られ、そこにユニークな膜構造物がみられる。オートファゴソームではないかと想像しているが確証は得られていない。
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