研究概要 |
ミトコンドリアに局在する2-Cys型Prx(TPx-2)の遺伝子をノックアウトした熱帯熱マラリア原虫株を作製した。ノックアウトは、ヒトDHFR遺伝子(WR99210耐性)およびヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(ガンシクロビル感受性)を選択マーカーとする置換型ベクターを用いておこなった。TPx-2 locusとベクター配列との置換は、限界希釈によるクローニング操作の前後に、PCRおよびSouthem blotで確認した。TPx-2の発現(-)はRT-PCR法で確認した。PfTPx-2遺伝子ノックアウト原虫は、通常培養条件下で、親株(FCR-3株)と同様に増殖した。酸化ストレス負荷時の増殖を調べるためt-BOOH(0,100,150および200μM)を培養液に添加した試験でも、ノックアウト原虫は同過酸化物に対して親株と同等の感受性を示した。ミトコンドリアの電子伝達系を標的とする抗マラリア薬、アトバコンに対するIC50値をノックアウト原虫と親株の間で比較したところ、両者に差を認めることはできなかった。マラリア原虫のミトコンドリアにおいて機能することが知られているNADH再酸化系末端酸化酵素(AOX)の阻害剤(Salicylhydroxamic acidおよびn-propyl gallate)に対する感受性をノックアウト原虫と親株の間で比較したところ、やはり両者に差を認めることができなかった。現在、他の酸化ストレス負荷時の増殖阻害、他の抗マラリア薬に対する感受性の比較をおこなうとともに、Prxに最近見出された新たな機能(シャペロン機能や細胞内情報伝達に関連した機能など)に対する表現型についても検討をおこなう予定でいる。
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