研究課題
基盤研究(C)
クロストリジウム属細菌が産生するコラゲナーゼのC末端にはコラーゲン結合ドメイン(CBD)が存在する。前に本ドメインを生理活性物質と融合し薬物送達システム(DDS)に活用できることを示した。また、DDSに適した新規分子をデザインするため、X線結晶学的にドメイン構造を決定し、アラニン・スキャンにより結合に重要な残基を決定した。本ドメインはβサンドイッチ構造をとり、1)側面のβストランドと直角に、2)1)と同様だが逆向きに、3)斜めに、基質が結合するモデル、計三種が示された。今回、結合様式を確定するため、コラーゲン様ペプチドを用いてNMRによるPerturbationassayを行った。15N標識CBDのHSQC解析を行い、10残基を残してピークを帰属できた。基質アナログ(Pro-Hyp-Gly)10の添加によりピークのシフト/消失が起こる残基を特定し、CBDの構造モデルにプロットしたところ、これらはβストランドと直行した位置にあり、モデル3が否定された。さらにN末端をスピン標識した基質アナログを用いて同様の実験を行ったところ、特定の残基(V87)が追加的に消失した。したがって、V87の近傍に基質のN末端が結合するモデル1が結合様式を反映していると考えられた。次に、実用性の高いDDSを例示するため、副甲状腺ホルモン(PTH)とCBDの融合タンパク(PTH-CBD)を作製し,PTHの骨形成効果が持続的に作用するか否かを検討した。八週齢のマウスの腹腔内にPTHまたはPTH-CBDを80ug/kg/dose(PTH当量)を週1回8週間投与し、骨密度をDXA法で測定したところ、PTH-CBDでは対照に比し有意な骨密度の上昇が認められた。また、月1回の投与とした場合でも4か月後から骨密度に有意差が認められた。CBDの構造を利用したDDSの骨粗鬆症に対する応用の可能性が示された。
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