研究課題
基盤研究(C)
臨床材料から分離される大腸菌については、多くの研究者によってその病原因子の分布が調査されてきた。しかし、複雑性尿路感染症や無症候性細菌尿から分離される大腸菌における病原因子の分布に関する報告はほとんどない。単純性及び複雑性尿路感染症、或は症候性及び無症候性尿路感染症から分離された大腸菌に質的違いがあるか否かを明らかにするために、単純性膀胱炎(UC)、複雑性膀胱炎(CC)、複雑性無症候性細菌尿(CASB)の症例から分離された大腸菌の、系統分類、O血清型別、および18種類の病原因子の分布を調べた。調査には、2000年から2005年に札幌医大病院と京都専売病院で分離された大腸菌283株(UC:153、CC:56、CASB:74)を用いた。系統分類学的には、全ての症例でB2が優勢であった。pap、 iha、 omp TおよびPAIはCCやCASBに比較してUCにおいて高い頻度で存在していたが、残りの14病原因子はどの症例においても差は見られなかった。O血清型別においても、症例間に違いは見られなかった。複雑性あるいは無症候性尿路感染症に比べて、単純性あるいは症候性尿路感染症の方がより多くの病原因子を必要とするように思われるが、調査した3種類の症例(単純性膀胱炎、複雑性膀胱炎、複雑性無症候性細菌尿)から分離された大腸菌の系統分類、O血清型および病原因子の分布には際立った相違は見られなかった。症候性尿路感染症の発症には、細菌が発現する病原因子の作用より患者の健康状態が深く関わっていると考えられる。
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