結核は、結核菌のタンパク質や脂質成分に対する免疫応答に基づく慢性疾患である。脂質抗原のT細胞への抗原提示は、主にCD1bにより行われている。マウスには、CD1b遺伝子がないため脂質抗原に対する免疫応答の解析には適さないが、モルモットにはヒトCD1bに相当する分子が存在する。しかし、モルモットを用いた免疫応答の解析をするための、サイトカインの測定系などのツールが数少ない。本研究では、モルモットサイトカインの測定系を確立することとヒトCD1bトランスジェニックの作製を行い結核菌感染防御機構における脂質抗原に対する免疫応答の役割の解明を目的としている。 モルモットのサイトカインの測定系を確立するため、Th1反応に重要なIFN-γおよびIL-12の組換えサイトカインを精製し、単クローン抗体の作製を行った。組換えIFN-γを発現するバキュロウイルスを作製した。精製した組換えIFN-γは抗ウイルス作用を示し生物活性を有する組換え体を作製できた。精製した組換えIFN-γをマウスに免疫し、定法に従って単クローン抗体を作製した。12クローンの単クローン抗体を樹立し、モルモットIF-γのサンドイッチELISAによる測定系を確立した。さらに、組換えIL-12p35およびIL-12p40のヘテロ二量体をバキュロウイルスの系で作製した。精製した組換えIL-12はIFN-γ誘発作用を示し生物活性を有する組換え体を作製できた。精製した組換えIL-12をマウスに免疫し、定法に従って単クローン抗体を作製した。8クローンの単クローン抗体を樹立し、モルモットIL-12のサンドイッチELISAによる測定系を確立した。 我々が作製したヒトCDIbトランスジェニックは、CD1bの発現が低かったため、新たに異なるプローモータを用いてトランスジェニックマウスを作製を試みたが、トランスジェニックマウスの樹立に至らなかった。
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