1.これまで報告した新生児毒素性ショック症候群(TSS)様発疹症(NTED)のほとんどの患児は治療を必要とせずに回復する。今回、大人のTSSと類似して、TSST-1応答性T細胞の変動を測定し、Vβ2陽性T細胞の増幅が強く、かつ期間が長い経過を示して重症な患児を経験した。新生児でもT細胞のTSST-1応答性が強いと重症になることが示唆された。2.ヒトおよびウシから分離されるレンサ球菌Streptococcus dysgalactiaeからスーパー抗原SPEGの変異体SPEGG2〜8を見出した。ヒトに対してよりウシに対して強いスーパー抗原活性を示し、ウシの疾患に関わるものと考えられた。3.Streptococcus dysgalactiae-derived mitogen(SDM)を結晶化し、X線解析を行った。SDMは分子系統樹では他のスーパー抗原と異なる新規のスーパー抗原であるが、一部異なるもののスーパー抗原の特徴的な構造をしている。C末端に亜鉛を持ち、Zn-イオンによりMHCクラスIIβ鎖に結合することが変異毒素を用いた実験で明らかになった。4.扁桃あるいは口部の慢性病巣感染が掌蹠膿疱症の発症に関わることはよく知られている。ここでは、扁桃摘出あるいは抜歯による治療の過程でのT細胞の活性化マーカー(ICOS、CD25、HLA-DR、CLA)の変動を測定し、掌蹠膿疱症の扁桃組織内のCD4^+T細胞上のICOSが対照に比して優位に上昇していることを認めた。このことから、ICOS分子を介した共刺激により産生されるサイトカインが、掌蹠膿疱症の発症に関わることを推察した。
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