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2007 年度 実績報告書

ヒトメタニューモウイルスの病原性とインターフェロンアンタゴニズム

研究課題

研究課題/領域番号 18590446
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

後藤 敏  滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00211920)

キーワードヒトメタニューモウイルス / インターフィロン / TLR7 / 9 / IRF7 / M2-2 / pDC / ウイルス / 病原性
研究概要

pDC(plasmacytoid dendritic ce11)は,そのエンドソーム膜に細胞外のウイルス核酸を感知するTLR7/9をもち,IRF7やNF-κBの活性化を通してインターフェロン(IFN)-αや炎症性サイトカインを産生する。前年度の研究から,ヒトメタニューモウイルス(hMPV)のM2-2蛋白質には,このTLR7/9シグナル伝達を阻害する活性が存在することが明らかとなった。この活性によりhMPVは宿主の免役応答から逃れていると考えられた。そこで今年度は,本阻害のメカニズムをさらに詳細に検討した。その結果,
1)M2-2はIRF7の転写活性を抑制したが,NF-κBの活性化を阻害しなかった。したがって,IFN-αの誘導は抑制するが炎症性サイトカインの誘導は抑制しないと考えられた。
2)M2-2蛋白質はIRF7分子と特異的に結合することが明らかとなった。
3)M2-2蛋白質が結合するIRF7のドメインはIRF7の二量体形成に関わる領域であった。
4)M2-2蛋白質のN端2/3の領域でもfull sizeのM2-2と同様な阻害活性とIRF7結合活性を示した。
以上から,M2-2はIRF7を標的としてIRF7依存性のシグナル伝達を阻害していると推測された。したがって,pDCのような特化した細胞でのみ働いているTLR7/9経路以外でもIRF7の関わる伝達経路は阻害されうると考えられた。一般の細胞では,IRF7の発現は検出限界以下であるが,IFN誘導遺伝子のひとつであるため,IFNがいったん細胞に作用するとIRF7が発現するようになる。このように誘導されたIRF7は転写因子として機能しIFN-βのさらなる大量産生とIFN-αの産生とを促す。したがって,M2-2はpDCのみならず,一般細胞のIFN産生の増大を阻止する役割もあると考えられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Bovine parainfluenza virus type 3 accessory proteins that suppress betainterferonproduction2007

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Komatsu
    • 雑誌名

      Microbes and Infection 9

      ページ: 954-962

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒトRSウイルスとTLR7/9依存性IFN-α産生シグナル2007

    • 著者名/発表者名
      小松孝行、竹内健司、北川善紀、定清直、後藤敏
    • 学会等名
      第55回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2007-10-23
  • [学会発表] ヒトメタニューモウイルスの宿主IFN-α産生シグナル阻害機構2007

    • 著者名/発表者名
      北川善紀、小松孝行、竹内健司、周敏、伊藤正恵、後藤敏
    • 学会等名
      第55回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2007-10-22

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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