1.HIV-1などでウイルス粒子の出芽に関与している事が知られている宿主因子であるAIPl/Alixとパラインフルエンザ2型ウイルス(hPIV2)のV蛋白及びNP蛋白が結合している事が明らかになった。そこで、薬剤添加によるshRNA発現によりAIPl/Alixをknockdown出来る細胞株を樹立し、それらを使ってウイルス増殖を検討した。WtのPIV2ウイルスの増殖は10-100分の1に抑制された。しかし、AIPl/Alixと結合できない変異V蛋白を持った変異リコンビナントウイルスの増殖には変化はなかった。したがって、AIPl/AlixとV蛋白の結合はPIV2ウイルス増殖に重要である事がわかった。 2.hPIV2 V蛋白がウイルスRNA合成に与える影響を検討するためミニゲノムの系を構築した。この系を使ってV蛋白の機能を検討した結果、V蛋白のC末側がウイルスRNA合成を抑制するために必須であり、NP蛋白との結合ではなく、large RNA polymerase(L)蛋白と結合が抑制に関与している事を明らかにした。 3.hPIV2のミニゲノムはhomogeneousなP、 NP、 Lの組み合わせであればhPIV2だけでなくPIV5のP、 NP、 Lでも転写・複製がおこった。しかしheterogeneousな組み合わせでは機能しなかった。 4.V蛋白と結合する細胞側の因子を網羅的に検索する目的で行ったYeast two-hybrid法により様々な因子が浮かび上がってきた。今後、これらの因子についてのさらなる検討を行いたい。
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