APOBECファミリー蛋白による抗ウイルス自然免疫機構に関して研究を行い、以下の結果を得た。 (1)APOBEC3蛋白による抗ウイルス活性の解析 (1)HIV-1以外のウイルス科に対する抗ウイルス活性に関して:APOBEC3Gが、HBV (Noguchi et al. J Gen Virol)に対して抗ウイルス活性を持つことを示した。 (2)APOBEC3G以外のAPOBEC3蛋白による抗ウイルス活性に関して:APOBEC3BおよびAPOBE3Fもまた抗HIV-1活性を有するが、その活性の強さ、およびVifに対する感受性に差があることを報告した(Shirakawa et al. Virology)。 (3)マウスレトロウイルス(MLV)に対する抗ウイルス活性の検討:MLVがマウスAPOBEC3による抗ウイルス活性を回避するメカニズムは、Vifのようなアクセサリー蛋白を用いず、ウイルスRNAとプロテアーゼを用いた全く新しい機構であることを証明した(Abudu et al. Curr Biol)。 (2)APOBEC3Gのリン酸化による機能調節に関して:APOBEC3GがProtein Kinase A (PKA)によりリン酸化をうけること、またこのリン酸化によりVifへの抵抗性を獲得することを明らかにした(Shirakawa ety al. manuscript in preparation)。 (3)APOBEC3Gの発現調節に関して:肝細胞においてIFN-αによりAPOBEC3Gが誘導されることを示した(Tanaka et al. Biochem Biophys Res Commun)。
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