研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的はフラビウイルスの非構造蛋白NS4a及びゲノム末端の3'-UTRに焦点を当て、ウイルスRNA、蛋白合成に及ぼす影響を解析し、ウイルス複製における役割を明らかにしようとするものである。平成18年度においては、ウイルス蛋白NS4aの細胞内局在性の解析及び3'-UTRの変異ウイルスあるいはルシフェラーゼレポータ法を用いて解析し、それらの領域によるウイルス複製への作用、宿主遺伝子発現への影響等を明らかにするための実験研究を行った。(1)ウイルス蛋白NS4aの機能角析:構築NS4a発現ベクターを用いての細胞内局在性の解析;ウイルス材料は主に日本脳炎ウイルスJaGAr01株(野生株)及びJK-1株(変異株)を用い、野生株由来および変異株由来の蛋白NS4aコード領域を有する複数のNS4a発現ベクターを構築した。それらをヒト肝臓由来細胞培養株KN73及びHepG2等に遺伝子導入し、発現部位の差異、発現パターンの違いについて検討を行った。細胞内での局在性について調べるために共焦点レーザー顕微鏡及びタイムラプス顕微鏡(ZEISS)を駆使して解析を行った結果、NS4a蛋白は小胞体近辺に顆粒状で多く存在していることが明らかになった。しかしながら、変異NS4a蛋白では存在状況に変化があり、小胞体から細胞質全体へ拡散するように存在していた。それらのデータはウイルス構造形成に影響を及ぼすものであり、変異NS4aを含む変異ウイルスの複製能力が低下していることを推察させる。こうした事実は変異ウイルスの病原性が低下していることと関連すると考察される。(2)3'UTR変異を有する各種ルシフェラーゼベクターを構築し、蛋白合成への影響を解析;ルシフェラーゼレポーターのベクターはSP6プロモーターの下流にJEVの5'UTRとルシフェラーゼ遺伝子そして3'端にはJEVの3'UTRを繋げたベクター(pJEL3')であるが、その3'UTRに各種変異ウイルスのヌクレオチド配列を挿入し、それらを用いてルシフェラーゼ活性を測定した。変異があると蛋白合成量が低下していることを明らかにした。この事実も変異ウイルスの病原性が低下していることと関連すると考察される。
すべて 2007 2006
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