1本研究の目的は、HSVアクセサリー遺伝子のひとつであるUS3に着目し、アポトーシス制御、免疫制御および神経病原性発現の分子機構について解析することにある。 2その目的のため、マウスに対し高病原性を示す野生株HSV(186株)、そのUS3欠損ミュータント(L1BR1およびLB101)、US3復帰HSV(L1B-11)を用い、in vivoおよびin vitroにおいて包括的に解析した。 3「US3による末梢神経系アポトーシス抑制と神経病原性発現の分子基盤」に関し、in vivo(マウス)の実験より、186株およびL1B-11株は末梢嗅神経にアポトーシスを誘導せず(感染ニューロンはTUNEL陰性)、一方、L1BR1は末梢嗅神経にアポトーシスを誘導した。 4L1BR1は、US3は末梢神経系におけるアポトーシスを抑制することにより、自然感染経路(経鼻接種法)からのウイルス中枢神経系侵入を促進し、神経病原性を発揮すると考えられた。 5新規に作成したLB101はマウス末梢嗅神経に対し感染性を示さなかったが、その原因は不明であった(現在、DNAシークエンスを再確認中)。 6L1BR1による末梢嗅神経におけるアポトーシス誘導のメカニズムに関してはリン酸化JNKの検出ができず、依然として不明である。 7嗅神経上皮においてIba1陽性ミクログリアの検出を試みたが、検出されなかった。
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