研究課題/領域番号 |
18590463
|
研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
小池 智 財団法人東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (30195630)
|
研究分担者 |
安部 優子 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (80398156)
山下 康子 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (80446559)
岩崎 琢也 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (90146027)
|
キーワード | ウイルス / 脳・神経 / トロピズム / インターフェロン / 血液・脳関門 |
研究概要 |
前年度までにポリオウイルスやTheiler's murine encephalomyelitis virusなどの急性脳炎・脊髄炎を引き起こすウイルスの神経特異性の決定にInterferon(IFN)が大きな影響を与えていることを明らかにした。すなわち神経系組織は非神経系組織に比べIFN応答が鈍いためにウイルスの増殖を許容している。生体ではspontaneous IFNあるいはendogenous IFNと呼ばれる低濃度のIFNが非感染時においても血液中に存在していることが知られている。我々は非神経系組織ではspontaneous IFNによってプライミングを受けIFN応答性が高く維持されているが、神経組織は血液・脳関門によって移行を阻害されているためにプライミングを受けていない応答性の低い状態となっているという仮説を立て検証した。 1.spontaneous IFNの影響:Spontaneous IFNの影響をなくすためすべてのタイプのIFNに対して非感受性となるStat-1 KOマウスの組織におけるIFN-stimulated gene(ISG)の発現レベルを調べたところ野生型マウスと比較して非常に低いレベル(ほとんどの組織で検出不可能)となっていた。これは非神経系組織のIFN応答性を維持するためにspontaneous IFNが重要であることを示唆している。 2.血液・脳関門の影響:次にspontaneous IFNや感染時に末梢から産生されるIFNの神経系への効果を調べるため、野生型マウスにIFNを静脈内投与し、神経系組織、非神経組織においてISGの上昇が見られるかどうかを調べた。IFN投与後非神経系組織でのISGの上昇は顕著であるが、脳、脊髄においては上昇がわずかであった。このことはIFNが神経系へは到達しにくいことを示唆していた。
|