研究課題
基盤研究(C)
ポリオウイルス(PV)、タイラーズウイルス(TMEV)は神経系でよく増殖する神経親和性の高いウイルスである。我々はこれらのウイルスの神経選択的病原性の発現とインターフェロン(IFN)応答との関連性について研究を行なった。1. PV、TMEVをPVRtgマウスなどに静脈内接種によって感染させIFN応答を調べた結果、またI型IFNレセプターを欠損したマウスに感染させた結果から非神経系組織ではIFNやIFN-stimulated genes(ISGs)の誘導によりウイルス増殖が阻害されて組織が保護されるが、神経系では応答が鈍く不十分だあるためにウイルス感染が拡大することが判明した。2. 組織によるIFN応答性が異なる理由として、非神経系組織は通常よりspontaneous IFNにさらされていること、感染が体内のどこかで起こりIFNが誘導された場合血流によって運ばれたIFNのすぐに曝されることなどの理由によってIFN応答に必要なISGの発現レベルが高く応答性がよいことが考えられ、逆に神経系組織は血液・脳関門によってIFNが到達しにくいためこれらの遺伝子群の発現が低く、応答性が低いと考えられた。3. 非神経系組織の細胞はもともと生体内ではウイルスの増殖ができなかったにも関わらず単層培養細胞とすると増殖可能となる。これは生体外での培養開始とともにIFN応答に必要なISGの発現が低下し、応答性が低下することでウイルス増殖が可能となることが判明した。結論としてこれらのことからPV、TEMVなどの増殖性を規定する大きな原因としてIFN応答による細胞内での増殖許容性が挙げられ、新たにIFN応答に制約を受けたトロピズムの決定機構が存在することを示すことができた。
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