研究課題
基盤研究(C)
NP抗原特異的BCRノックインマウス、QMマウスよりB細胞を精製し、抗原-IgM複合体で培養刺激を行った。FACS解析によるB細胞上のCD86分子の発現上昇を指標にB細胞の活性化について検討したところ、抗原の用量依存性にQMB細胞上のCD86発現上昇が認められたが、この発現上昇は抗原-IgM複合体形成によって抑制された。また、IgMのFca/μレセプター(Fca/μR)への結合を完全に阻害する抗体であるTX57のF(ab')2抗体を用いてB細胞を前処理した場合、上記のIgM複合体形成によるCD86発現上昇抑制効果は消失した。さらに、QMB細胞をMarginal zone B cell(MZB)とFollicular B cell(FOB)とに分離して同様の検討を行ったところ、IgM複合体形成によるCD86発現上昇抑制効果はFca/μRを高発現するMZBにおいて顕著だった。以上の結果から抗原-IgM複合体はBCRとFca/μRの共架橋を介してB細胞の活性化を抑制することが示された。さらに、B細胞株であるA20.2J細胞にFca/μR遺伝子を導入し、BCRを介したカルシウム細胞内流入におけるFca/μRの作用を検討した。抗BCR抗体による共架橋によって、BCRを介した細胞内カルシウム流入が認められたが、さらに抗Fca/μR抗体を共架橋した場合、細胞内カルシウム流入は抑制された。一方、細胞内領域を欠失させたFca/pR遺伝子を導入したA20.2J細胞で同様の実験を行ったところ、BCRとFca/μRの共架橋による細胞内カルシゥム流入の抑制は認められなかった。さらに、遺伝子導入細胞を刺激後、Fca/μRを免疫沈降してウエスタンブロッティングを行ったところ、BCRとFca/μRの共架橋に伴ってFca/μRのスレオニン残基がリン酸化される事を示唆するデータが得られた。以上の結果からFca/μRは共架橋によってBCRを介した細胞内カルシウム流入を始めとするB細胞活性化を抑制することが示された。また、この抑制にはFca/μRの細胞内領域が必須であり、細胞内スレオニン残基のリン酸化が抑制性のシグナルに関与している可能性が示唆された。
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