研究概要 |
メモリーTh2細胞は、アレルギー疾患の病態に深く関わっていることが予想されているが、現在のところその分化機構と病体形成における役割についての研究はほとんど行われていない。そこで本研究では、新たに開発した抗原特異的メモリーTh2細胞の大量調整系を用い、メモリーTh2細胞の分化について分子レベルでの解析を行った。その結果、下記研究成果を得ることが出来た。(1).メモリーTh2細胞の生存維持機構を解析し、ポリコーム群遺伝子の一つであるBmi1が重要であることを見出した。続いてTh2細胞における新規Bmil標的分子を探索し、アポトーシス誘導因子の一つNoxaがその標的であることを明らかにした。Bmi1は、Noxa遺伝子のヒストン修飾やCpGメチル化をコントロールすることでNoxaの発現調節を行い、Noxa依存性の細胞死の制御を行っていると考えられた。また、Bmilを欠損させることでアレルギー性気道炎症モデルの病態を改善できることも示された(Yamashita et al., J. Exp. Med.,2008 in press)。(2).Th2細胞機能に関与する転写因子の検索を行い、C2H2型zincFinger転写因子G伍が見出された。Gfil欠損マウス由来のTh2細胞では、Th2細胞分化のマスター転写因子であるGATA3蛋白が不安定化し、安定的したTh2細胞の形質が得られないことが明らかとなった(Shinnakasu et al.論文投稿準備中)。
|