研究概要 |
TLR4会合分子としてPRAT4A、PRAT4Bを同定し、本研究期間ではPRAT4Aの機能解析を中心に行った。 1. PRAT4Aの発現を増強または低下させた細胞の作製 PRAT4Aに対するSiRNAによりPRAT4Aの発現を抑制するとTLR4の細胞表面への発現が低下し、TLR4リガンドへの応答性も低下した。このとき糖鎖修飾されたTLR4のバンドが消失していたことからPRAT4AはTLR4の細胞表面への発現・応答に必要であることが示唆された。 2. PRAT4ノックアウトマウスの作製 ノックアウトマウス由来細胞ではTLR4のみならずTLR1、TLR2などの発現も低下していた。また機能的にはTLR3リガンドであるpoly(I;C)への応答性には影響ないがTLR7,9などの細胞内TLR応答はほぼ完全に消失し、一方でTLR 1,2,4などの細胞表面TLR応答は部分的に残っているという、各TLRでPRAT4Aによる影響が異なる結果となった。このような応答変化は、PRAT4Aノックアウトマウス由来の stem cellにPRAT4Aを強制発現させて誘導した樹状細胞では回復することからいずれもPRAT4Aによる機能であると考えられた。またPRAT4AはTLR1,TLR4のみならずTLR9にも会合しこれらTLRのERからのtraffickingに必要であることがわかった。 3. PRAT4に対するモノクローナル抗体の作製 エンドトキシンショックではヘテロマウスで全例死ぬ量でもPRAT4Aノックアウト骨髄移入キメラマウスはすべて生存したことから、その発症にPRAT4A経路が必要であることがわかった。PRAT4Aに対するモノクローナル抗体の作製に成功し,PRAT4Aに対するモノクローナル抗体を用いた治療応用の可能性を検討中である。
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