研究課題
基盤研究(C)
NKT細胞は自然免疫と獲得免疫をつなぐ重要な免疫制御性T細胞の一つである。免疫制御におけるNKT細胞研究の今後の発展を考えた場合、NKT細胞の操作・移入により免疫寛容状態を人為的に誘導できるかどうかが重要なポイントである。またより強固で安全な免疫制御法を確立するためにはその際の分子メカニズムを詳細に知る必要がある。我々は本研究によりNKT細胞の操作・移入による人為的な免疫制御法の確立に向けて、ES細胞など未分化細胞からの樹状細胞やNKT細胞の誘導が可能であるかどうか検討した。またその際の分子メカニズムと制御法について検討を行った。まず、マウスES細胞を試験管内でOP9細胞とGM-CSFを用いて培養することで樹状細胞様の細胞を分化・誘導し、NKT細胞との共培養に用いた。ES細胞由来樹状細胞はCD11cやCD80/86を発現しており、α-GalCerをパルスしてからNKT細胞と共培養するとサイトカイン産生を誘導することが可能であった。この際、IL-10存在下で培養すると、NKT細胞、樹状細胞ともに炎症性サイトカイン産生の能力が低下し、逆にIL-10産生性が亢進した。NKT細胞の繰り返し刺激による樹状細胞側のIL-10の誘導は、生体内の樹状細胞で見られるよりは軽度であった。本研究で我々はPLA2のひとつiPLA2の異常により生体内でNKT細胞の比率が高まることを見出した。iPLA2の阻害剤BELを用いて胎仔胸腺培養を行うとNKT細胞の比率が増加し、NKT細胞の分化においてiPLA2の酵素活性が重要な役割を果たしていることが示唆された。骨髄幹細胞や胎児肝臓からの試験管内T細胞誘導においてNKT細胞を分化させることは困難であったが、このiPLA2機能を制御することでNKT細胞の分化効率が変化する可能性が示された。
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