研究課題
基盤研究(C)
我々は、この期間においてMIRファミリーメンバーのknockoutマウス(KO)を作成した。その結果MARCH-IのKOにてMHC class II(MHC II)の発現亢進が観察された。MARCH-Iは二次リンパ組織の抗原提示細胞(APC)に発現している事が明らかとなり、MHC IIをユビキチン化にて制御するE3ユビキチンリガーゼである事が推測された。この点を脾臓B細胞を用いて検討した。野生型B細胞では、MHCIIのポリユビキチン化が認められた、しかし、MARCH-I KOのB細胞ではMHC IIのユビキチン化が完全に消失していた。MARCH-Iが直接MHC IIをユビキチン化するか否かを、293T細胞を用いて検討した。その結果、I-A beta鎖の225番目のリジン残基がMARCH-Iによりユビキチン化され抑制される事が明らかとなった。さらに、ユビキチン化がMHC IIの輸送にどのように関与するのかを、詳細に検討した。その結果、KOのB細胞ではMHC IIのエンドサイトーシスには変化が認められなかったが、リソソームへの輸送が阻害されている事が明らかとなった。これらの事から、MARCH-Iは生理的なMHC IIのE3ユビキチンリガーゼであって、I-A beta鎖の225リジン残基をユビキチン化する事によりMHC IIの細胞表面における量を調節している事が明らかとなった。この結果は、2007年EMBOJに掲載された。現在、ユビキチン化によるMHC IIの制御の意義をKOを用いて検討している。
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