研究概要 |
NKG2Dリガンドの発現制御機構を解析するため、自己免疫性糖尿病モデルマウスNOD、野生型マウスC57BL/6およびNODxC57BL/6 F1マウスを用いて解析した。まず遺伝背景と病態の発症について、NODマウスは糖尿病を発症し、NKG2DリガンドとしてRAE-1α,β,γを遺伝子にもっている。C57BL/6マウスは糖尿病を発症せず、RAE-1δ,εを遺伝子としてもっている。NODxC57BL/6 F1マウスは糖尿病を発症せず、NKG2Dリガンドの遺伝子はRAE-1α,β,γ,δ,εのすべてをもっている。これらマウスを用い、RAE-1のmRNAの発現を定量的PCR法を用いて解析した。その結果、NODマウスにおいてRAE-1αが、RAE-1β,γに比べて高発現していることが判明した。また、NODxC57BL/6 F1マウスにおいて遺伝子発現の偏りがなければ、RAE-1遺伝子すべてにおいて親マウス(NODまたはC57BL/6)と比較して発現が半分になることが予想された。しかし結果は、RAE-1β,γ,δ,εは発現がほぼ半分になるのに対し、RAE-1αは大幅に発現が低下していることが判明した。これらの結果から、NODマウスにおけるNKG2Dリガンドの異常発現の主たる因子はRAE-1αであること、C57BL/6由来のRAE-1αの転写を抑制する因子が存在する可能性が考えられた。現在RAE-1α,β,γのプロモーター領域のクローニングを行っている。
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