研究概要 |
目的:全国の鍼灸マッサージ業に係る事業所数及び市場規模を推計し地域医療資源の基礎資料を整備する。 方法:全国137保健所が所管する三療事業所名簿を開示請求により収集し、そのデータベースから、2006年末の事業所総数77,352件(衛生報告)について、営業形態別(施術所と出張事業所)の各件数を推計した(一次調査)。次に、同データベースから比例抽出した施術所5,000件と出張事業所1,000件に調査票(年収項目を含む)を送付し、宛先不明による封書返送率と有効回答中の廃業・休業率から営業事業所数を試算したうえで、2006年における同業の市場規模を推計した。 結果:施術所と出張事業所を共に開示した61保健所所管の両事業所の構成比(3対1)から、上記77,352件の内訳は施術所57,550、出張事業所19,802件と推計された。次に、封書返送率(施術所20.6%、出張事業所31.5%)と廃業・休業率(同順12.4%、41.3%)及び封書返送事業所への電子電話帳調査の結果等を勘案すると、実際に営業している事業所数は概ね5万件から6万6000件、この結果と営業形態別、企業形態別等の年収を推定した上で、同業の2006年における市場規模を下位推計で試算したところ、概ね3千150億円と推計された。 考察と結語:三療事業所からのアプローチで市場規模を推計した試みは初めてであり、医療経済学的意義は大きいが、国の統計を大幅に下方修正する必要性が示唆されたことから、国による信頼に足る三療実態調査の早期実施が望まれる。
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