研究概要 |
本学では,新たなPBLの評価法として変形論述試験(Modified Essay Question,MEQ),概念マッピング,Key featuresを用いた試験を実施しており,これらの評価法について検証し,有効なPBL評価システムを策定する。 1)MEQの信頼性 本学で実施した4ユニット(血液,循環器,呼吸器,精神神経)のMEQについて,その試験の信頼性を検定するためにCronbachα(α値)を算出した。血液,循環器,呼吸器,精神神経のα値は、0.619,0.712,0.589,0.602(平均0.630)で,それぞれの問題数は8,8,10,13であった。仮にこれらの試験を全て同時に実施した場合のα値と問題数は0.769,39であった。信頼性を更にあげるためには問題数の増加が必要であり,各ユニット30題出題できればα値はそれぞれ0.859,0.903,0.811,0.777(平均0.837)となり,信頼性の向上が期待できる。各MEQは1症例からの出題であり,試験の妥当性は高くなかった。 2)Key featuresを用いた試験(KF試験)の信頼性 本学で実施した2ユニット(成長発達,腎泌尿器)のKF試験についてα値を算出した。成長発達,腎泌尿器のα値は,0.520,0.538(平均0.529)で,それぞれの問題数は13,20であった。症例数を増やすことにより試験の妥当性は向上したが,信頼性は逆に減少した。学生による症例ごとの得意,不得意が生じたため信頼性が低下したと考えられた。問題数を増やすことでα値の増加することが推測されたことから(30:題二成長発達0.714,腎泌尿器0.636),試験の妥当性,信頼性を更に向上させるためには,症例ごとの問題数は3題程度とし,症例数を更に増加させる必要のあることがわかった。
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