研究課題/領域番号 |
18590487
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
赤林 朗 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70221710)
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研究分担者 |
児玉 聡 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (80372366)
額賀 淑郎 東京大学, 大学院医学系研究科, 特任教員 (80396697)
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キーワード | 公衆衛生倫理 / 健康増進 / 疫学研究 / 感染症 / 優生学 |
研究概要 |
初年度は、主に文献研究により、英米圏のパブリックヘルスエシックスの動向を調査した。また、カナダトロント大学のバイオエシックスセンターを訪問し、資料収集及び聞き取り調査を行なった。 文献研究として、「公衆衛生の倫理学(Public Health Ethics)とは何か:英米圏の文献レビューによる概説」『応用倫理学研究』(第4号、2007年出版予定)に総説をまとめた。概要は以下の通りである。近年、英米圏の生命倫理学および公衆衛生の分野でpublic health ethicsを確立しようとする動きが見られる。たとえば、米国公衆衛生学会(1872年創立)が2002年に初の倫理綱領を策定した。また、2003年には、米国の公衆衛生大学院で用いるためのモデルカリキュラムの策定がなされた。さらに、2003年にはJournal of Law, Medicine and Ethics誌が、2004年にBioethics誌が、公衆衛生の倫理学の特集を組んだ。本論文では、体系的な文献調査を通じ、英米の公衆衛生倫理学の動向を概観し、今後の研究の基礎資料を作成した。米国ジョージタウン大学のケネディ倫理学研究所のデータベース及びMedlineで関連文献の検索を行い、文献86件(本10冊、論文76本)について、それらの文献から抽出された主要な論点に沿って整理を行った。具体的には、「公衆衛生の哲学」と「公衆衛生の倫理学」という大きなカテゴリー分けを行い、前者では「公衆衛生の定義」「公衆衛生と医療の違い」「公衆衛生活動の領域設定の問題」という下位項目、後者では「なぜ今公衆衛生の倫理学なのか」「主要な倫理的問題」「主要な倫理的アプローチ」「生命倫理学との関係」「教育の現状」という下位項目を立て、論点を整理した。 以上の今年度の文献研究等の知見を基に、次年度は日本における実態調査、さらなる文献研究を進めて行く予定である。
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